車の後ろに、もうひとつ部屋を作る|マルチルームという考え方と、3台の実例

こんにちは、86GARAGEのあるじです。
丸1台カスタムのご相談をいただくとき、ベッドやキッチンの話は、たいてい最初に出てきます。ところが「車の後ろに、もうひとつ小さな部屋を作る」という選択肢は、あまり知られていません。
これを、私たちはマルチルームと呼んでいます。
マルチルームとは、壁を1枚立てて仕切った空間のことです
車内のいちばん後ろ、バックドアの手前に壁を作って仕切る。やっていることは、それだけです。
広さはお車と、ご希望によって変わります。人が1人入れるくらいの大きさにすることもあれば、道具を立てて入れられるだけの細い空間にすることもあります。
ただ、仕切りが1枚あるかないかで、車の中の使い方は大きく変わります。
なぜ、わざわざ仕切るのか
車中泊をしていると、「ここに置きたくないもの」が必ず出てきます。
- 濡れたもの(雨具、水着、釣り道具)
- 汚れたもの(靴、外で使った道具)
- 人に見られたくないもの
- 生活の場と分けておきたいこと(着替え、身支度)
ベッドやテーブルと同じ空間に置きたくないものを、扉1枚の向こうに追い出せる。これがマルチルームのいちばんの役割です。
もうひとつ大きいのは、「使い道を、あとから変えられる」ことです。棚やベッドは、作ったらその用途にしか使えません。仕切っただけの空間は、その日の遊び方に合わせて中身を入れ替えられます。
① ハイエース|家族の車中泊。着替えも、身支度も、ここで
ご要望 家族で車中泊を楽しみたい。空っぽの状態から、一台まるごと作ってほしい。
空っぽのハイエースから作った、ご家族向けの丸1台カスタムです。
まず、車内全体を見てください。天井もサイドも家具も、すべて同じ木目で揃えています。

ウッドデッキの上にいるような車内になりました。色をひとつに絞ると、車の中が一気に「部屋」へ近づきます。
この車内に入れたのが、二段ベッドです。

上下に分けて寝られるので、床を全部ふさぎません。ご家族で乗られても、それぞれの寝場所が確保できます。
ほかに、大きなキッチンと、向かい合って座れるリビング。そしていちばん後ろ。ここが今日の本題です。

壁を立てて仕切っただけの空間です。ですがこの1枚の壁が、次のような使い方を生みました。
- 着替えのスペース … ご家族でも、着替えるときは仕切りがほしいものです
- トイレを置けるスペース … 携帯トイレをお持ちになる場合、置く場所になります
- プライベートな空間 … ひとりになりたいときに
- 物置き … 使わないときは、単純に荷物置き場です
このお車には、トイレそのものは取り付けていません。「置ける空間を用意してある」という形です。水まわりの設備を入れるかどうかは使い方によって変わりますので、ご相談のうえでお決めいただけます。
このお車は、仕切りが中間と後方の二段構えになっています。真ん中で一度区切り、いちばん奥でもう一度区切る。おかげで「暮らす場所」「寝る場所」「隠す場所」が、はっきり分かれました。
ご家族で使われる場合、この「ひとりになれる場所」があるかないかで、車中泊の疲れ方が変わってきます。
② キャラバン|福祉車両から作り替えた、趣味の部屋
ご要望 福祉車両だったキャラバンを、キャンピングカーに作り替えたい。犬と一緒に出かけたい。
もともと福祉車両だったキャラバンです。作り始める前は、こんな状態でした。

車いす用のリフトを外し、中を空にしたところからのスタートです。ここから作っていきます。
仕上がったのが、こちらです。

天井は木目、サイドは白。①のハイエースが「木で囲む」なら、こちらは「木と白で抜く」作りです。同じ丸1台カスタムでも、内装の方向性は1台ずつ違います。
そしてこのお車にも、後ろに仕切った空間があります。ただし使い方が、ハイエースとはまったく違いました。

釣竿が立てかけてあります。
- 釣竿を立てかける … 長いものを、寝かせずに立てたまま積めます
- 趣味の道具を収める … 外で使う道具は、生活空間に入れたくないものです
- 荷物置き場 … 普段は、ここに荷物をまとめます
釣竿は長いので、寝かせて積むと車内をまるごと1本分ふさいでしまいます。立てて積めるところがあると、それだけで車内が広く使えます。
しかも扉を閉めれば、道具は普段使いの目に触れません。「趣味の顔」と「普段の顔」を分けられるのが、このお車の作りです。
この発想は、オーナー様との打ち合わせの中から出てきたものです。「何を積みたいか」から考えると、置き場所の形が決まってきます。
キャラバンに、FFヒーターは付くのか|ガソリン車も軽油車も、2台の実例
③ 市販のキャンピングカー|水が使える、本格的なマルチルーム
このお車について オーナー様がご購入された、キャラバンベースのキャンピングカーです。マルチルームは、もとから備わっていたものです。
ここまでの2台は、私たちが一から作ったお車でした。3台目は少し違います。完成した状態で販売されているキャンピングカーです。
まず、前方を見てください。

リビング、就寝スペース、キッチン。ここまでは、キャンピングカーとしてよくある作りです。
違うのは、後ろでした。

このお車のマルチルームは、水が使えるように作られています。
- シャワーを浴びられる
- シンクで水を使える
- 使い方によっては、トイレを置くこともできる
床も壁も防水で仕上げられているため、濡れることを前提に使えます。ここまで作り込むと、マルチルームは「物置き」ではなく、完全にひとつの部屋になります。
マルチルームがどこまで行けるのか、その到達点を見ていただける1台です。ご自分の車をどこまで作り込むか考えるときの、分かりやすい物差しになります。
このお車で、私たちがやったこと
マルチルームは、もとから付いていました。私たちがお受けしたのは、別の2つです。
- 12Vエアコンの取り付け
- 鉛バッテリーから、リチウムバッテリーへの切り替え
ここで一つ、困ったことがありました。エアコンを置く場所が、どこにもなかったのです。
完成しているキャンピングカーですから、空いている隙間はありません。そこで家具を一度取り外し、加工して、そこにできたスペースへエアコンを設置しました。
「もう内装が入っているから、エアコンは無理だろう」とあきらめている方が多いのですが、家具を加工すれば付けられる場合があります。まずは車内のお写真を見せていただければ、置ける場所があるかどうかをお伝えできます。
3台を並べると、違いがはっきりします
3台とも、後ろに仕切られた空間があります。ですが中身は、こうなりました。
| ① ハイエース | ② キャラバン | ③ キャンピングカー | |
|---|---|---|---|
| 主な使い道 | 着替え・身支度 | 趣味の道具を積む | シャワー・水まわり |
| 何が入るか | 人が入る | 長いもの・汚れるもの | 人が入って、水を使う |
| 作りの深さ | 仕切りだけ | 仕切り+立てかけ | 防水仕上げまで |
「どれが正解か」ではありません。何を積みたいか、誰と乗るかで、ちょうどいい形が変わるだけです。
いきなり③を目指す必要もありません。①の「仕切っただけ」で足りる方も、たくさんいらっしゃいます。
マルチルームを作るときに、決めること
ご相談のときに、この3つを一緒に決めていきます。
① 何を入れるか
いちばん最初に決めるのは、ここです。人が入るのか、道具が入るのか。これで広さも高さも変わります。
「着替えたい」なら、立てる高さと、腕を動かせる幅が要ります。「竿を積みたい」なら、竿の長さが決めてになります。「水を使いたい」なら、防水の仕上げまで考えることになります。
② どこに作るか
いちばん後ろに作るのが一般的ですが、ベッドやキッチンの配置によっては、真ん中に持ってくることもあります。
ここを動かすと、ベッドの向きや長さにも影響します。車内全体の配置とセットで考える部分です。
③ どう仕切るか
扉を付けるのか、カーテンにするのか。中を完全に隠すのか、上だけ開けておくのか。
しっかり仕切るほどプライベートは守られますが、そのぶん車内は狭く感じます。ここは、実際の使い方をうかがってご提案しています。
迷ったときは、「いちばんよく使う日」を思い浮かべてください。年に一度の使い方に合わせるより、毎回の車中泊で使うほうに合わせたほうが、結果として満足度が上がります。
あとから作れるのか、というご質問について
すでに内装が入っているお車に、あとからマルチルームを作ることもできます。
ただし、家具をいったん外したり、加工したりする必要が出てきますので、最初から入れておいたほうが、費用も日数も抑えられます。
③のキャンピングカーでエアコンを付けたときも、まさに家具を外して加工しました。できないわけではありません。ひと手間かかる、というだけです。
「今すぐは要らないけれど、いずれ欲しい」という場合は、先に場所だけ空けておくという作り方もあります。ご相談ください。
「いきなり丸1台は難しいけれど、まずは軽バンから始めたい」という方も多くいらっしゃいます。軽バンの車中泊カスタムは、車をお預けいただくだけで、最短2週間でお渡しできます。6台の施工例でまとめました。
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ご相談の前に、決まっていると早いこと
- 車種と年式
- いまの車内の状態(ノーマル/すでに家具が入っている/完成したキャンピングカー)
- マルチルームに何を入れたいか
- 主なお使い方(おひとり/ご夫婦/ご家族/ペットと一緒 など)
- ご希望の時期
すべてお決まりでなくて大丈夫です。「こういうものを積みたい」だけでも、そこから形にしていけます。
車内のお写真を添えていただけると、いちばん早く判断できます。
家具制作・フルビルド よくある質問
Q. 部分的な施工依頼も可能ですか?
はい、可能です。気になる箇所だけのご依頼も承っています。例えば「断熱+バッテリーシステム+エアコン取付だけ依頼して、ベッドキットは自分で用意して楽しむ」といったスタイルも大歓迎です。
Q. フルビルドの費用はどのくらいかかりますか?
軽バンで¥1,000,000〜2,500,000、乗用車バンで¥1,500,000〜3,500,000が目安です。完全フルオーダー制作のため、1台ごとにご要望をヒアリングした上でお見積りします。
Q. 施工期間はどのくらいかかりますか?
目安は1〜2ヶ月です。内容や込み具合によって前後しますので、詳しくはご相談時にお伝えします。
Q. イメージが決まっていなくても相談できますか?
ある程度の使い方や方向性をお考えいただけるとスムーズです。「旅メインで使いたい」「ペットと快適に過ごしたい」など大まかなイメージでも構いません。SNSで見つけた「こんな車内が好き」という画像も参考になりますのでぜひお持ちください。
Q. キャンピングカー登録(8ナンバー)にも対応していますか?
はい、キャンピングカー登録までお手伝いします。登録に必要な要件も含めてご提案しますのでご安心ください。
Q. 軽バンでもフルビルドはできますか?
はい、軽バン・乗用車バンなど幅広い車種に対応しています。限られたスペースをどう活かすかも含めて、一緒にワクワクしながら考えましょう。
Q. 既存の内装に家具を追加してもらうことはできますか?
はい、可能です。現在の内装の状態や車両情報をお知らせいただければ、既存スペースに合わせた家具制作・追加施工をご提案します。
Q. 素材や色はどこまで選べますか?
木材・金属・ファブリックなど素材から色・仕上げまで幅広くご要望にお応えします。「車内を黒で統一したい」「ナチュラルな木目にしたい」など、こだわりをそのままお伝えください。
Q. 遠方でも依頼できますか?
はい、全国対応しています。持込車両のみの対応となりますが、北海道から九州まで多くのお客様にお越しいただいています。まずはオンラインでご相談ください。

