FFヒーターは、どこに付けるのか|ハイエース・キャラバン・デュカト、8台の実例

こんにちは、86GARAGEのあるじです。
冬の車中泊のご相談で、いちばん多くいただくのが、この質問です。
もうひとつ、お伝えしておきます。キャラバンへの取り付けも承っています。「キャラバンで探しても、なかなか見つからなかった」と言われることが、実際に何度かありました。
ただ、FFヒーターのご相談でいちばん時間をかけて考えるのは、燃料の種類でも、車種でもありません。
「どこに置くか」です。
この記事では、実際に取り付けた8台を、置いた場所と、その場所になった理由と一緒にご紹介します。8台とも、付けた場所が違います。
FFヒーターは「燃料」と「12V電源」の2つで動きます
まず、いちばん誤解が多いところからお伝えします。
FFヒーターは、燃料だけでは動きません。12Vの電源が必要です。
- 燃料 … ガソリン、または軽油
- 12V電源 … サブバッテリーシステム、またはポータブル電源
この2つがそろって、はじめて燃焼して車内を暖めます。「燃料さえ積んでおけば動く」と思っている方が、とても多い部分です。
⚠️ ポータブル電源から直接つなぐのは避けてください。ポータブル電源側の出力には上限があり、それを超える使い方をすると、故障や発熱につながる恐れがあります。ポータブル電源で動かすこと自体はできますが、間にシステムを1つ挟む必要があります。ここは別の記事で、あらためて詳しく書きます。
燃料の引き方は、2通りあります
① 車内に燃料タンクを設置する
携行缶など、燃料が漏れない容器を車内に設置・固定し、転倒防止をしたうえで、そこにガソリンまたは軽油を補充して供給します。
この方法は、車種を問わず受付できます。
② 車両の燃料タンクから引く
車の燃料タンクに加工をしてホースをつなぎ、FFヒーターまで燃料を運びます。
- 別のタンクを積まないので、荷室が減りません
- 給油が1か所で済みます
- 車内に燃料の容器を置く手間も、場所も要りません
⚠️ 燃料タンクへの加工が必要です。専門的な知識と施工経験が要る作業で、知識のない方が行うと非常に危険です。この記事を読んでご自身で作業することは、おすすめしません。
この記事の8台は、軽自動車の1台をのぞいて、すべて②の車両の燃料タンクから引く方法で取り付けています。
「車がしっかり走行できる・移動できる」ことを、いつも第一優先にして取り付けています。暖かくなっても帰れなければ、意味がありませんので。
8台、全部ちがう場所に付いています
先に一覧でご覧ください。
| 車種 | 置いた場所 | 燃料 |
|---|---|---|
| ハイエース | 対面リビング、後方の椅子の下 | 軽油 |
| ハイエース | 助手席側のステップに埋め込み | ガソリン |
| ハイエース | 運転席側のステップ(使わないドアの足元) | 軽油 |
| ハイエース | 荷室・運転席側、タイヤハウスの手前 | 軽油 |
| キャラバン | 荷室の中央、運転席側 | ガソリン |
| キャラバン | ベッドの中(電装ごと格納) | 軽油 |
| デュカト | リアシートの下 | 軽油 |
| 軽バン(エブリィ) | 助手席後ろの足元(取り外し式) | 本体一体型 |
置ける場所が余っていたから、そこに付けたわけではありません。8台とも「置く場所が残っていない」ところから始まって、8通りの答えになりました。
ハイエース|同じ車種でも、4台とも違う場所です
いちばんご依頼の多いお車です。同じハイエースでも、中の作りが違えば、置ける場所はまったく変わります。
その1|対面リビングの、椅子の下
二段ベッドとマルチルームを備えた、丸1台カスタムのお車です。
この車は、置ける場所が本当に残っていませんでした。
- 二段ベッドの下 → サブバッテリーシステムが入っている
- 車両の後方 → マルチルームを作っている
- 二段ベッド自体にも → 収納がある
そこで、対面リビング(食事をしたり、パソコンを使う場所)の後方の椅子の下に取り付けました。椅子の中に本体を格納できたので、内装に目立ちません。
次の写真は車内全体です。どこにFFヒーターがあるか、すぐには分からないと思います。

椅子の下に吹き出し口とリモコンがあります。言われないと気づかない。これが、この1台でいちばんお見せしたいところです。
オーナー様には「理想に近い内装になった」と喜んでいただきました。ウッドハウスのような車内に、エアコンとFFヒーターと電装が入り、年間を通して使える一台になりました。
その2|助手席側のステップに、埋め込む
ハイエースで車中泊をされている方には、こういうお車も多くあります。
- リアシートはそのまま残っている
- その後ろに、簡易的なベッドキットを置いて寝ている
この作りだと、FFヒーターを隠せる家具がありません。荷室に置けば本体が丸出しになり、スペースも取られます。
そこで、ステップに取り付けます。ただし、ここには工夫が要ります。
ステップカバーの上に、そのまま置いてはいけません。足を踏む場所に本体を置くと、乗り降りのたびにステップの半分以上がふさがります。
実は、ステップカバーを外すと、その奥に大きな空間があります。
- ステップを少しくり抜く
- そこに本体を半分ほど埋め込む
- 表に出るのは、3分の1くらい
こうすると、ステップのスペースがかなり広がり、乗り降りもしやすくなります。

同じ「ステップに付ける」でも、埋めるか、置くかで、使い勝手がまるで変わります。
このお車は、電気をすべてポータブル電源で完結させたい、というご希望でした。FFヒーターも、天井のダウンライトも、100Vのコンセントも、ポータブル電源から使えるようにシステムを組んでいます。
その3|使わないドアの足元が、いちばんの置き場所でした
お預かりしたとき、内装も家具も就寝スペースも、すでに完成していたお車です。冷蔵庫も電子レンジも備わっていました。
ご依頼は、ルーフエアコンとFFヒーターとダウンライトを付けて、電気をポータブル電源からサブバッテリーシステムに切り替えたい、というものでした。
ところが、こうなりました。
- ルーフエアコン → 家具があると内張りを剥がせず、設置できない
- FFヒーター → 家具と床板があって、燃料タンクの点検口を覗けない
そこで、一度、家具を全部外し、内張りも取り外して、車をまっさらな状態に戻すところから始めました。
FFヒーターを置いたのは、運転席側のうしろのステップです。理由は単純で、家具を元に戻すと、そのドアはもう開かないからでした。
誰も使わない足元。そこがこの車で、いちばん自由に使える場所でした。本体をステップに収めて、吹き出しをそこから立ち上げ、家具を加工して車内へ通しています。

この1台でいちばん手がかかったのは、取り付けよりも家具を外す作業でした。
別のところで作られた家具は、どう組まれているのかが、こちらには分かりません。それを一つずつ紐解きながら、壊さずに外していきます。慎重で、デリケートな作業です。
オーナー様には「希望通りの車になった」と言っていただきました。エアコンとFFヒーターがそろって、奥様と一年中、車中泊を楽しめる一台になりました。
その4|床を切って、点検できる蓋にする
このお車も、すでに内装と家具が入っていて、床板も張られていました。
それでも「車両の燃料タンクから引きたい」というご希望でしたので、家具と床板を外して、燃料タンクにアクセスしました。
ここで一手間かけています。
燃料タンクの開口部の上にある床板を、切って「蓋」にしました。今後なにかあったとき、床を剥がさずに、そこから点検できます。
本体の置き場所は、荷室の運転席側。うしろへ行くとタイヤハウスがあるので、中央より少し前です。ここは、既存の家具の配置を見ながら、オーナー様と相談して決めました。

最後に床板と家具を戻して、今まで通りの使い勝手に戻しています。
オーナー様の一言が、この1台をよく表していました。「見た目は変わらないけど、これで雪山にこもれる」
キャラバン|2台とも、これから作る内装に合わせました
キャラバンへのFFヒーター取り付けも、承っています。
その1|まだ何もない車に、先に付ける(ガソリン車)
この1台がガソリン車です。ハイルーフ・ワイドのキャラバンで、車の燃料タンクからガソリンを引いて動かしています。
オーナー様は、ご自身でキャラバンを車中泊仕様に作り込まれていた方でした。それを一度ぜんぶ取り壊して、新しく内装を作り直す。そのスタートとして、先に空調を入れたいというご依頼です。
お預かりしたときの車内は、空っぽでした。

置いたのは、荷室の中央あたり、運転席側です。ここになった理由は2つあります。
- 運転席の後ろ → サブバッテリーシステムを組む予定だった
- もっと後ろ → タイヤハウスがある
その間に残った場所、ということです。ただ、それだけで決めたわけではありません。
これから作られる家具を想像しながら、位置を決めました。本体を付けやすいかだけでなく、あとから吹き出し口を通しやすいかまで見ています。空っぽのうちに入れておけば、家具のほうを空調に合わせて作れます。
ご夫婦とペットで車中泊を楽しまれる方で、雪もよく降る地域にお住まいです。冬が来る前に、と依頼をいただきました。
その2|ベッドの中に、電装ごとまとめる
もともと福祉車両だったキャラバンを、空っぽの状態から一台まるごとキャンピングカー仕様に作ったお車です。
運転席の少し後ろから車両後部にかけて、ベッドスペースを作りました。その運転席側に、サブバッテリーシステムとFFヒーターをまとめて格納しています。
熱風は、そこから足元に出るようにしました。

操作パネルも、同じベッド下の棚に付けています。電装をひとところに集めました。
これには、もうひとつ理由があります。ベッド下の棚を開ければ、FFヒーターもバッテリーシステムも、まとめて点検できるからです。作って終わりではなく、あとで触れるかどうかまで考えて場所を決めています。
エアコンとFFヒーターの両方が入ったので、ご夫婦とペットで、一年を通して車中泊ができる一台になりました。
この2台のキャラバンは、別の記事でもっと詳しく書いています。ガソリン車のほうは、取り付け前の空っぽの車内から見ていただけます。
キャラバンに、FFヒーターは付くのか|ガソリン車も軽油車も、2台の実例
デュカト|座席を外すと、そこに空間がありました
12Vエアコン、600Ahのサブバッテリーシステム、FFヒーター。この3つを同時に取り付けたお車です。
置いたのは、運転席うしろのリアシートの下。座席を一度取り外すと、そこに空間があります。そのデッドスペースに、サブバッテリーシステムとFFヒーターをまとめて収めました。

デュカトは軽油のお車ですので、車両の燃料タンクから引いています。車内に燃料の容器を置かずに済む方法を、オーナー様も望まれていました。
この1台で気をつかったのは、外国のお車だという点です。
日本車と違い、不具合が起きたときの対応や、部品の取り寄せ・修理が、簡単にはいきません。燃料タンクへのアクセスも、ポンプの取り付けも、ハイエースやキャラバンとは構造が違います。壊さないこと。それが最優先の作業でした。
趣味のバイクを積んで、日本各地を走り回るお車です。エアコンとFFヒーターを存分に使える一台になった、と喜んでいただきました。
軽自動車は、少し事情が違います
ここまでの7台は、すべて車両の燃料タンクから燃料を引いています。軽自動車では、同じようにはいきません。
軽自動車には、燃料タンクの点検口がありません。そのため、車両の燃料タンクから引こうとすると、燃料タンクを一度、車から降ろす必要があります。
正直にお伝えします。86GARAGEでは、燃料タンクを降ろす作業は行っておりません。
ですので、軽自動車にFFヒーターを付けたい場合は、選択肢が2つあります。
選択肢① 燃料タンクを降ろせる業者に依頼する
車両の燃料タンクから引きたい、という場合は、その作業ができるところにご依頼ください。
選択肢② 本体と燃料タンクが一体になったものを使う
86GARAGEが自社の軽バン(エブリィワゴン)で形にしたのが、この方法です。
そもそも軽自動車は、車中泊に使えるスペースが本当に限られています。冬以外の季節までFFヒーターが置きっぱなしだと、それだけで邪魔になります。
理想は、使わないときに外せることでした。
そこで、燃料タンクと燃焼させる機器が一体になった、移動式のFFヒーターを使いました。
- 車の燃料からは引かない
- 携行缶のような別のタンクも置かない
- 本体の中に、燃料タンクが入っている
置いたのは、助手席のうしろ。リアシートの足元の、くぼんだ部分です。排気と吸気の配管は、助手席側のステップを加工して車外へ出しています。電源は12Vが要りますので、サブバッテリーシステムにつないでいます。

この作りだと、こうなります。
- 冬が終わったら、本体を取り外してご自宅に保管
- 春から秋は、そのスペースを自由に使える
- 冬になったら、また設置する
「うちの軽じゃ無理だろう」と諦めている方に、いちばんお伝えしたい方法です。自社の車で実際に施工して、こういう付け方もできる、という形にしました。
そもそも、FFヒーターはどのくらい暖かいのか
置き場所の話が続きましたので、最後に「効き」の話をさせてください。
| 暖房 | 暖まる範囲 |
|---|---|
| 電気ヒーター | 目の前が、ほわっと暖かくなる |
| 電気毛布 | 布団の中、体が面している部分だけ |
| FFヒーター | 車内全体 |
軽バンでも、ハイエースでも、キャンピングカーでも、真冬の車内で半袖で過ごせるところまで暖められます。
車内に石油ヒーターを持ち込む方もいらっしゃいますが、設置面積を取りますし、倒れれば燃料がこぼれます。FFヒーターは本体がコンパクトに収まり、燃料も車両側から取れます。備え付けの暖房として、他に代わるものがありません。
断熱は、必要ですか
よくいただく質問です。お答えします。
断熱がないとFFヒーターが効かない、ということはありません。断熱がなくても、車内は暖まります。断熱は、その暖かさを逃がさないためのものです。
住宅と同じ理屈です。壁の中に空気があると、その空気が外の寒さで冷えて、室内の温度に影響します。だから壁の中に断熱材を入れる。そうすると、外の寒さの影響を受けにくくなり、暖めた空気が逃げにくくなります。
車も同じです。断熱があると、
- 適温が保ちやすくなる
- 外の暑さ・寒さの影響を受けにくくなる
- 暖房も冷房も、動かす電力を減らせる
ご予算に余裕があれば、やっておいたほうがいい施工です。ただ、断熱をしたから半袖で過ごせる、という話ではありません。暖めるのはFFヒーターの仕事で、断熱はそれを助ける仕事です。
では、エアコンの暖房ではだめなのでしょうか。
ルーフエアコンには暖房が付いていて、冬にも使えます。ただし本体が天井の上にあるため、雪が積もるとファンがふさがれて動かせなくなります。雪の降る夜に、屋根へ上がって雪をどけることになります。
雪の降る場所で泊まる方に、FFヒーターをおすすめしている理由が、ここにあります。
12Vエアコンだけで冬は越せるのか|壁付けとルーフの違い、雪の日に止まる理由
ご相談の前に、決まっていると早いこと
ここまでご覧いただいた通り、置き場所は、お車の中身で決まります。ですので、次のことが分かると、ご提案が早くなります。
- 車種と年式、燃料(ガソリン/軽油)
- いまの車内の状態(ノーマル/ベッドキットのみ/家具が入っている/完成したキャンピングカー)
- サブバッテリーシステムやポータブル電源を、お持ちかどうか
- 主なお使い方(おひとり/ご夫婦/ご家族/ペットと一緒 など)
- ご希望の時期
車内のお写真を添えていただけると、いちばん早く判断できます。置ける場所は、写真を見ればだいたい見当がつきます。
施工は最短3日からお受けしています。
車両の燃料タンクから引く施工は、ハイエース・キャラバンを中心にお受けしていますが、それ以外のお車も、一度ご相談ください。この記事のデュカトのように、構造が違っても方法はあります。

